若竹煮

若竹煮

出会いもの……同じ季節に出回る旬の食材で、料理の相性が良い組み合わせのことなんだそうです。海の幸、山の幸、里の幸から、たまたま同じ時期においしくなる食材を出会わせて、それぞれの美味しさを引き出す料理です。代表的なものに筍と若布、鰤と大根、鯛と蕪、棒鱈と海老芋などがあります。

単に旬と言っても、日本には『走り』『旬』『名残り』なんてのがあるんで、粋な出会いもんに頭を悩ませるのも料理人の愉しみです♪

今宵は走りの筍に名残の湘南若布を合わせて、若竹煮にしてみました……なんて書くと素人料理でも、それっぽくなりますね(笑)

材料

竹の子 一本
若布 50g
出汁 500cc
日本酒 50cc
薄口醤油 大さじ2
味醂 大さじ2
砂糖 小さじ1
塩 少々

筍は早めに下拵えしないと、どんどん味が落ちるんで、持ち帰ったら早めに調理しましょう。まずはタワシで洗って泥を綺麗に落としてから、先端1/5位を斜めに切り落とします。

アクが抜け易い様に縦に切れ目を入れておいて下さいね〜。皮にある還元性の亜硫酸塩が、たけのこの繊維をやわらかくするので、皮付きのまま茹でます。

鍋に竹の子、ぬか、鷹の爪を入れて竹の子が充分浸る位の水を注ぎましょう。ぬかを加えることで、たけのこのえぐみ成分シュウ酸が抜けるみたいですね〜。また、ぬかのデンプンがたけのこの表面を包んで酸化を防止して白く茹で上がるそうです。

中火で加熱して下さい。沸騰したら弱火にして落し蓋をしてコトコト煮込みましょう。普通サイズで90分位が目安です。根元に楊枝を刺してスッと入ればオッケーです。小さい物で1時間、大きい物だと2時間位ですかね。

煮上がったら、このまま煮汁の中で冷まします。この煮汁は保存に使うんで捨てないで下さいね〜。

充分冷ましたら切れ目から皮を剥いていきます。穂先の方の姫皮は食べれる部分多いんで、身を残しながら少しずつ丁寧に剥きましょう。

姫皮に結構身が付いちゃいましたが、これはこのままツマミになります♪仕込みしながら晩酌、これも料理の醍醐味ですねσ(^_^;)

根元の硬い部分は食感悪いんで削いでおきましょう。

穂先の先端の硬い部分も切り落として、下拵え完了。すぐに調理しない時はこのまま煮汁に戻して保存します。

ここからは若竹煮を作っていきます。下拵えした竹の子を洗って煮汁の糠を落とします。穂先は四つ割りに、根元は1cm厚位の半月切りにしておきましょう。

鍋に出汁と日本酒を張って、切り揃えた筍を入れます。中火で沸騰したら弱火にして下さいね〜。アクを取ってから、薄口醤油、砂糖、味醂、塩で味付けをしましょう。

このまま弱火でコトコトと20分煮込んでから冷ましておきましょう。

冷まして筍に味を含ませたら、追い鰹で風味をつけながら弱火で煮込みます。お茶パックに一握りの削り節を入れて煮込めばオッケーです。

沸騰する手前位の温度で10分ほど火を通したら出汁パックを取り出して下さい。パック絞ると雑味が出るんで自然に落ちる水分だけ鍋に戻して下さいね〜。

最後に湯通しした生ワカメを入れて温めたら完成です。ホントは山椒の若芽を飾らないといけないみたいですが、そこはご愛嬌でσ(^_^;)

市販の水煮では味わえない筍の香りと、生若布の磯の香り、そして出汁味を含んだ旨味……さすが出会いもんの王道ですね♪

酒は淡麗辛口の新潟の酒『鶴の友』を温燗で合わせてみました♪越乃寒梅、雪中梅、峰乃白梅を新潟の『三梅』と呼んでますが、『三鶴』ってのもあるそうで、鶴の友はその一本です♪

春の出会いもんはまだまだ色々、旬の浅蜊と名残のセリで炊き込み飯、メバルと牛蒡を炊いたり、蛍烏賊と菜の花でピザなんてのもアリですかね♪

それでは皆様、良い晩酌を\(^o^)/